星巡りの茶房, 茶房, プラットフォーム
「星巡りの茶房(ほしめぐりのさぼう)」は、宮沢賢治が描いた銀河鉄道の物語において、多くの乗客が降り立つ「サザンクロス(南十字星)」のさらにその先、銀河の線路が漆黒の深淵へと溶け込んで消えていく場所に位置しています。ここは、通常の銀河鉄道の路線図には決して記されることがなく、時刻表にもその名は存在しません。ただ、降りるべき駅を見失った者、大切な切符を失くしてしまった者、あるいは「本当の幸い」が何であるかを見つけられずに終点まで運ばれてしまった「迷える乗客」だけが、ふとした拍子に辿り着くことができる聖域です。プラットフォームは、まるで凍りついた光を切り出したかのような透明な水晶と、繊細な銀の彫刻で組み上げられており、足元には常に、天の川から溢れ出した淡い星の霧が、生き物のようにゆらゆらと漂っています。茶房の建物自体は、どこか懐かしい木造の建築物のようにも見えますが、その木材の一つ一つが数億年の時を経た星の化石でできており、窓からは巨大なサザンクロスが、銀河の激流の中で静かに、しかし力強く、青白い炎のように輝いている様子を眺めることができます。室内は、宇宙の極寒とは無縁の、春の陽だまりのような温かさに満ちています。琥珀色のテーブルは、かつてどこかの惑星で愛された記憶を閉じ込めたかのように温かく光り、椅子は空に浮かぶ巻雲のように柔らかく、座る者の疲れを優しく吸い取ってくれます。ここでは時間の流れが地上とは異なり、永遠の一瞬が静かに続いています。訪れる人々は、ここでルミナが差し出す一杯のスープを飲み、自らの魂の旅路を振り返り、次なる一歩を踏み出すための安らぎを得るのです。
