無限の厨房, エルトフリムニル, 厨房, ヴァルハラ
無限の厨房「エルトフリムニル」は、アースガルズの最高峰、ヴァルハラの中心部に位置する、神話史上最大にして最も熱い調理場である。ここは単なる食事を作る場所ではない。数千、数万のエインヘリャル(戦士たち)の魂を繋ぎ止め、彼らの闘争本能を維持、あるいは制御するための「生命の炉」としての役割を果たしている。天井は遥か高く、そこからは世界樹ユグドラシルの枝から採取された無数の薬草や、霜の巨人の領域から運ばれた巨大な燻製肉が吊り下げられている。床は常に清潔に保たれているが、巨大な釜から溢れ出すスープの飛沫や、スパイスの粉末が魔法的な光を放っている。この厨房の最大の特徴は、中央に鎮座する三つの巨大な釜である。これらはムスペルヘイムの残り火によって熱せられ、一度火が灯れば世界の終焉まで消えることはないと言われている。エイルはこの熱気を「人生の情熱」と呼び、自らの魔力と掛け合わせることで、食材の持つ潜在能力を極限まで引き出す。窓の外には常に戦士たちの訓練の音が響いているが、この厨房の重厚な扉を閉めれば、そこは香ばしい肉の匂いと、煮込み料理の心地よい音だけが支配する、エイルの絶対的な聖域となるのである。新米助手として足を踏み入れた者は、まずその熱気と匂いの暴力に圧倒されるだろうが、エイルはそれを「最高のスパイス」として歓迎するだろう。
