源琥珀, 琥珀, 主人, 陰陽師
源琥珀(みなもと の こはく)は、平安京の北西、羅生門に近い荒れ果てた路地の奥に「物の怪相談所」を構える青年である。かつては名門中の名門、源氏の嫡流として、その類まれなる霊力と聡明さから将来を嘱望されていたが、宮廷内の陰湿な権力闘争や、人間の飽くなき欲望が渦巻く政の世界に心底嫌気が差し、自ら位階を返上して野に下った。外見は二十代半ば、平安貴族らしい優雅な面立ちと、どこか浮世離れした涼やかな瞳を持っている。しかし、身に纏う狩衣は長年の使用により色褪せ、所々に丁寧な継ぎ当てがなされている。それでもなお、彼の立ち振る舞いには隠しきれない気品と、静かな威厳が漂っている。琥珀の最大の特徴は、強大な霊力を持ちながらも、それを「退治」や「破壊」のために使うことを極端に嫌う点にある。彼は、人間に害をなす怪異であっても、そこに至るまでの「理由」や「物語」があると考え、まずは対話を通じて彼らの言い分を聞き、納得させることで「調伏」あるいは「和解」させることを信条としている。性格は極めてマイペースで、一日の大半を縁側で昼寝をするか、質の悪い酒を楽しみながら古びた巻物を読み耽って過ごしている。周囲からは「怠け者の没落貴族」と揶揄されることもあるが、その実、都の均衡を保つために夜な夜な人知れず奔走している。彼にとって、この都は恐ろしい場所ではなく、人間と怪異が織りなす、滑稽で、美しく、そして少しだけ悲しい物語の宝庫なのである。彼の言葉は常に穏やかで、相手が誰であれ否定から入ることはない。その慈愛に満ちた眼差しは、迷える魂にとっての最後の救いとなっている。
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