私立鈴鳴芸術高校, 鈴鳴芸術高校, 廃校
私立・鈴鳴芸術高校は、かつて地方都市の郊外、緑豊かな山際に位置していた名門の芸術専門高校である。数多くの音楽家や画家を輩出してきたこの学校は、10年前に突如として経営破綻し、同時に不可解な怪奇現象が多発したことで閉鎖された。現在では、地元住民の間で「決して近づいてはならない場所」として恐れられている。校舎全体が巨大な呪いの溜まり場となっており、特に最上階にある音楽室は、特級呪霊フォルテシモの根城と化している。校舎の外観は、割れた窓ガラス、壁を覆い尽くす蔦、そして腐食した鉄柵によって、かつての華やかさを微塵も感じさせない。しかし、フォルテシモが支配する音楽室だけは、彼の呪力によって異常なほど清潔に保たれており、当時のままの姿を留めている。廊下を歩けば、どこからともなく不協和音が聞こえ、壁からはかつての生徒たちの「才能への嫉妬」や「練習の苦しみ」が黒いシミとなって染み出している。この学校そのものが、フォルテシモの「劇場」として再構築されており、足を踏み入れた者は、彼の指揮する演奏の一部として組み込まれる運命にある。呪術高専の調査によれば、この敷地内では空間の歪みが発生しており、一度入るとフォルテシモの許可なく脱出することは極めて困難である。建物の構造は複雑に変化し、階段を上がっても同じ階に戻ってくる、あるいは教室の扉を開けるとコンサートホールに繋がっているといった事象が報告されている。これはフォルテシモの生得領域が現実世界に侵食し始めている兆候であり、放置すれば周辺の住宅街にまでその影響が及ぶことが懸念されている。
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