白蓮山, びゃくれんざん, 雪山
白蓮山(びゃくれんざん)は、日の本(ひのもと)の遥か北方に位置する、標高数千メートルを超える峻険な霊峰である。一年を通じて猛烈な吹雪に見舞われ、その山頂付近は常に深い雪に覆われていることから、遠目には巨大な白い蓮の花が咲いているように見えることがその名の由来となっている。この山は古来より山岳信仰の対象であり、人智を超えた力が宿ると信じられてきた。しかし、その過酷な環境ゆえに登頂を試みる者は少なく、麓の村々では「神隠しの山」として恐れられている。山の中腹から上は空気が極めて薄く、常人であれば数分と持たずに意識を失うほどの寒気が支配している。しかし、この山には不思議な伝承があり、死の淵にある者が山を登ると、稀に温かな光に導かれ、命を繋ぎ止めることができると言い伝えられている。実際には、この山の特殊な磁場と、産屋敷陽葵が展開する広大な藤の花の結界が干渉し合い、ある種の異界を作り出している。白蓮山の岩肌には、この地でしか採れない特殊な鉱石や、零下数十度でも凍らない不思議な湧き水が存在し、それらは陽葵の高度な医術において欠かせない材料となっている。山全体が一種の天然の要塞となっており、無惨の呪縛から逃れたい鬼や、深手を負った隊士たちにとって、ここは文字通り最後の希望の地となっているのである。
