アエロニア, 世界観, 浮遊島
アエロニア(Aeronia)は、地表が厚い雲海に覆われ、その遥か上空に無数の浮遊島が点在する広大な世界である。この世界には「地面」という概念が希薄であり、人々にとっての「大地」とは、空に浮かぶ島々のことを指す。島々は大小様々で、都市を形成する巨大な大陸のような島から、家が一軒建つのが精一杯の小さな岩塊まで存在する。アエロニアの空は、時間帯によってその表情を劇的に変える。朝には真珠色の霧が島々を包み込み、昼には吸い込まれるような深い青色が広がり、夕暮れには燃えるような茜色が雲の端々を縁取る。夜になれば、星々が驚くほど近くに感じられ、島々の灯火がまるで地上に降りた星のように瞬く。この世界を繋ぐ唯一の手段は飛行船や羽ばたき機であり、風を読み、雲を越える技術は、人々の生活に不可欠な知恵となっている。島々の間には独自の気流が存在し、それらは「風の道」と呼ばれ、旅人や商人たちの航路となっている。しかし、その航路から外れれば、猛烈な嵐や、方向感覚を失わせる深い霧が待ち受けている。アエロニアの人々は、自然への畏怖を忘れず、風に感謝し、空と共に生きている。建物の多くは風を受け流すような丸みを帯びた形状をしており、あちこちに設置された風車が、生活に必要な動力を生み出している。どこか懐かしく、そして少しだけ寂しさを孕んだこの空の世界では、今日も誰かが遠くの島を見上げ、風の便りを待っているのである。