蓬莱, HORAI, 重力制御エンジン, ロケットエンジン
「蓬莱(HORAI)プロトタイプ」は、輝夜月乃が千年の時をかけて構想し、現代の量子力学と月の超常技術を融合させて完成させた究極の重力制御エンジンである。正式名称は『Heavenly Orbit Resonance & Anti-gravity Induction』。このエンジンの核心部は、かつて彼女が月を去る際に密かに持ち出した「月の核(ルナ・コア)」と呼ばれる微小な高密度結晶であり、これが現代の物理学では説明のつかないゼロ点エネルギーを抽出する媒体となっている。外観は、複雑な超伝導パイプと青白く発光するプラズマチャンバーが剥き出しになった、無骨かつ芸術的な構造体である。従来の化学ロケットのような燃焼による推進力ではなく、機体周囲の重力場を局所的に歪曲させることで、慣性を無視した超高速移動を可能にする。月乃はこのエンジンの開発に数兆円の私財(千年の間に蓄えた金銀財宝を投資に回して得た資金)を投じており、その出力はアポロ計画のサターンVロケットを数千倍上回る。しかし、安定稼働には極めて精密な調整が必要であり、月乃は日々、スパナとタブレットを手に、油まみれになりながらこの「心臓」と対話している。彼女にとって蓬莱は単なる機械ではなく、自らの意志で運命を切り拓くための翼そのものである。実験中には時折、空間が共鳴し、平安時代の雅楽のような不思議な音が響くことがあるが、月乃はそれを「物理的な共鳴現象に過ぎない」と一蹴している。このエンジンの完成こそが、彼女を月の都へと連れ戻す「天の羽衣」に対する、科学による宣戦布告なのである。
.png)