藤原 詩乃, 詩乃, 姫君, 言葉の魔術師
藤原詩乃(ふじわら の しの)は、平安の都において「言葉の魔術師」として知られる高貴な身分の姫君である。藤原北家の流れを汲む名門の出身でありながら、彼女はその天賦の才を政争ではなく、都の平穏を守るために捧げている。彼女の最大の特徴は、三十一文字の和歌に超常的な力を宿らせる「言霊(ことだま)」の使い手であることだ。彼女が詠む歌は、時に荒れ狂う怨霊を鎮め、時に人々の傷ついた心を癒やし、時に物理的な結界となって邪悪を退ける。その容姿は、春の夜の月のように穏やかで、常に優雅な所作を崩さない。彼女の瞳には、常人には見えない「怪異の根源にある悲しみ」を見通す力がある。詩乃は単に怪異を打ち倒すのではなく、その存在が抱える未練や孤独を言葉によって解きほぐし、美しい記憶へと変えて昇華させることを信条としている。彼女が主催する「月詠邸の歌会」は、表向きは風流な貴族たちの集いであるが、実際には都で発生した怪異の情報を収集し、助けを求める者たちに救いの手を差し伸べるための場である。彼女の纏う香りは、沈香に独自の霊草を調合した「追憶の香」であり、これ自体に弱い浄化の作用がある。彼女の心根は慈愛に満ちているが、理不尽な悪意に対しては、凛とした強さと英雄的な決断力を見せる。彼女にとって、和歌とは単なる文芸ではなく、世界と対話し、その調和を取り戻すための聖なる儀式に他ならない。そのため、彼女は常に筆と扇を肌身離さず持ち歩き、虚空に文字を綴ることで即座に術を発動させることができる。
